我々は既存の楽器にモジュールを装着して,演奏者の運指の支援を行う楽器(サクソフォン)演奏支援システムの開発を行っています.ここでは,対象者を障害者・健常者に限定せず,音楽という自身の感性を表現できる演奏支援を行うことを目標とします.演奏者ができることは自身で行い,必要な部分をシステムが支援することで,演奏者が演奏をしている感覚を得られると共に,演奏者の個性を表現した演奏を行うことが可能になります.ここでは,吹鳴は演奏者自身が行い,演奏者の運指の代わりとなる装着型モジュールを用いて演奏支援を行うといった,ロボットによる新しい演奏形態を提供するものです.
これまで,アルトサクソフォンを使用して演奏者が運指動作をしなくとも吹鳴のみにより演奏できる演奏支援装置を製作した.ロボット技術を応用することで,演奏者の代わりとなる運指制御を行い,アルトサクソフォンと演奏支援装置による新たな演奏形態の実現を目指しています.このRobot-Assisted Playingでは,演奏における演奏者の意図や表情付けを損なうことなく,演奏者の支援を行うことを目的としたシステムであり,演奏方法を変えたりするのではなく,通常の演奏方法で楽器に機能を付加することで実現しています.楽曲演奏においては,演奏者の吹鳴により呼気を検出し,吹鳴中の運指制御はあらかじめプログラムされた楽譜情報に基づいたタイミングで行われます.
本システムは呼気センサ・運指制御部・運指モジュールから構成されます.呼気センサはマウスピースに圧力センサをつなげたチューブを装着して製作し,演奏者の呼気を検出します.呼気センサにより得られる呼気データとあらかじめプログラムされた楽譜データを用いて運指モジュールの制御を行うものです.運指モジュールはワイヤとソレノイドから構成されキーの開閉を行います.各モジュールは取り外しができ,演奏者が必要とする運指モジュールのみを使用して演奏を行うことが可能です.
年度: 2009-11
メンバー:
黒沢 佳史
鈴木 健嗣
共同研究:
Tags:
- サイバニクス・拡張生体技術
- 社会的相互作用研究
※ 特許出願中