近年,脳梗塞や脳腫瘍摘出手術といった高齢化・長寿命社会を迎えるにあたって不可欠な医療行為を行う脳神経外科において,手術手技(手術手法) の高度化に伴う高い事故・訴訟リスクが存在するといったことや,技術の習得に卒後15 年程度と長い期間を要するといった背景から,手術空間における術者の認知的及び身体的負担の増大が問題となっています.一方,外科手術支援では,手術ロボットマニピュレータ da Vinci(Intuitive Surgery 社)が著名です.これは術者と術部の間に設置された力覚センサ及び力覚フィードバック機構を備えた機械的インターフェイスを介してロボットマニピュレータを制御し,腹部等における微細な動作を必要とする手術に使用しています.
これに対し本研究では,術中の術者のインタラクションの観察を通して,術者の身体動作と知覚認知を阻害せずに術中の執刀を物理的に支援する機器を開発し,身体機能拡張による手技の間接的強化を試み,術者の負担軽減を目指しています.ここでは,刺入マニピュレータや機械的インターフェイスを用いることなく,術者の手指に身体機能を拡張する外骨格装着型機器を装着し,術者の知覚感覚系をそのまま保存しながら執刀を支援できる新たな物理支援機器を提案しています.これまでに,執刀中の上肢疲労の軽減や手振れの抑制,手指運動の分解能の向上,近接組織把持のための手指制御能力拡張の有効性を示しています.
年度: 2013-
メンバー:
西田 惇
松下 明
鈴木 健嗣
共同研究:
Tags:
- サイバニクス・拡張生体技術
- 社会的相互作用研究