近年,様々なタブレットデバイスを用いた社会的スキルの訓練に関する研究が提案されています.これは,自閉症スペクトラム障害児にとっても受容されやすい視覚ツールを利用しているためであると考えます.しかしながら,これらの小児は十分にスクリーンに注意を向けるのですが,逆に他者などとインタラクションする機会が逆に少なくなってしまうことも考えられます.そこで,このような学習の動機付け,学習を継続させるため,またさらに他者と経験を共有するためのツールとして人間型ロボット(*)を用いる新しい手法を提案しています.
このような理由から,新たなプラットフォームとして,タブレット端末と人間型ロボットを組み合わせて利用することの有用性を検証しています.タブレット端末では,特に顔・表情認識を学ぶため,慶應義塾大学で開発が進められている発達支援ツールであるFEEP(Face-Expression Expert Program, 顔・表情エキスパート支援プログラム(**))を用います.また,人間型ロボットPepper は,学習の強化子として用います.さらにここでは,使用者の情動変化を観察するため,装着型表情計測デバイスを用いて笑顔の量を同時に計量することを試みています.
現在は,大人の協力者によりシステムのフィージビリティを検証している段階ですが,タブレット端末,ロボットが組み合わされたシステムが動作することを確認するとともに,インタラクションを定量的にすることが可能であることを示しています.特に,タブレットのスクリーンによる視覚情報の提示と,ロボットの身体性,さらには装着者の笑顔の量というシナジー効果について明らかにしていきます.
年度: 2015-
メンバー:
Eleuda Nunez
松田 壮一郎
廣川 暢一
鈴木 健嗣
共同研究:
Tags:
- ソーシャル・ロボット
- 社会的相互作用研究
本研究は,科学技術振興機構の支援を受けて行われております.
(*) 本研究は,Softbank社のPepperデベロッパー・モデルを用いて行っております.
(**) FEEPについては,以下の論文を参考下さい.
Matsuda, S. and Yamamoto. J.: Computer-based intervention for inferring facial expressions from the socio-emotional context in two children with autism spectrum disorders. Research in Autism Spectrum Disorders, 8(8):944 { 950, 2014.