本研究では,小型のモジュール群を対象とし,振動駆動を利用した新しい自己修復機構を提案しています.現在のロボットは,人間による修理やメンテナンスが必要であり,人間が介在しない環境においては長期間の安定した自立行動が実現困難であると考えられる.そのためロボットが自分自身を修理する機能,つまり自己修復機能を持つことが可能になれば,上記の問題を解決する手がかりになると考えられます.
修復過程で消費されるエネルギーの供給源の点から自然界における自己修復について考察し,物体を構成している各モジュール毎に自己修復機能を持たせるのではなく,モジュールと外部のエネルギー源を合わせて一つのシステムと考え,システム全体として自己修復機能を持たせる手法を試みています.
ここでは,外部の振動をエネルギー源とする自己修復機構を有するモジュールを提案しました.まず,形態のみに関する自己修復機能を有する2種類の構造体を作成し,自己修復機能が動作することを実験によって示しています.次に,自身の形態と機能を修復する機能を持つ構造体を構築し,空気中と水中においても自己修復を実現できることを実験により示す.また本研究は,人体の内部や人間が介在することが困難な空間における状況を想定した応用が可能になります.ここでは,入口の狭い容器を外部環境として,容器中に壊れて小さくなった状態の構造体を投入し,外部から振動駆動させることにより内部でモジュールの自己組立が可能であることを示す.
このように,アクチュエータなどを持たない簡潔な構造のモジュール群に対し,外部の振動エネルギーを利用することによる自己修復機構を実現することが可能であるという知見が得られました.
年度: 2007-10
メンバー:
清水 雅裕
鈴木 健嗣
共同研究:
Tags:
- 次世代知能化技術