核磁気共鳴画像法(MRI; Magnetic Resonance Imaging) とは,核磁気共鳴現象を利用して対象物の内部情報を画像化する手法のことであり,撮像に使用する強力な磁場のため,検査室内への磁性体を含む機器の持ち込みは通常厳しく制限されています.一方,画像診断装置の画像を元にしたナビゲーション情報の下で治療を行うナビゲーション手術の普及に伴い,MRI 検査室内の強磁場空間でも使用が可能なMR 対応機器の開発が進められています.しかしながら,これらの機器は一般に磁性体を含んだアクチュエータ部や操作部をMRI 検査室外に設置し,室外からMRI装置内に備えた磁性体を含まない動作部に動力伝達することで稼働させる必要があるため,システム構成が複雑になってしまいます.
そこで本研究では,MRI 装置が発生させる磁場の印加タイミングや強度を高精度に操作できることに着目し,これを利用して動作するMR 対応磁場駆動式ロボットシステムの開発を目的とします.このロボットシステムにおける入力はMRI 装置から発せられる磁場のみであり,外部からの動力を必要としないため,システムの構成が簡便かつ対応するMRI 装置があればすぐに使用できるという利点があります.
ここでは,本システムの動力源としてMR 対応磁場駆動式アクチュエータユニットを開発しています.さらに,本システムの応用先としてMRI を用いたナビゲーション手術の1 つである乳がん凍結治療を掲げ,そのために必要な動作を実現する3 次元球面位置決め機構の提案を行っています.ここで提案するシステムは,MRI の磁場操作により動作し,凍結治療を支援するロボットシステムです.
年度: 2012-
メンバー:
大内 竜太朗
松下 明
五月女 康作
鈴木 健嗣
共同研究:
筑波大学附属病院
Tags:
- サイバニクス・拡張生体技術