本研究では,小型のロボットプラットフォームを用いて,身体性に基づく知能創発,及び次世代の知能化研究を行っています.
自身の知識と内部表象を利用して行動する認知ロボットにおいては,その行動制御のための適切なソフトウェアシステムが必要不可欠です.近年,ロボットの応用範囲が広がる中,他分野の研究者がこのような認知ロボットを利用する場面が増えて来ています.このような背景の下で,本論文の著者は,実世界で自身のセンサ情報に基づき動作する認知ロボットのための行動制御の実現を目的とし,宣言的手法によるTargets-Drives-Means方式と呼ぶソフトウェアの構成論に関する研究を行っています.認知ロボットの行動様式は主に反射型と熟考型の組み合わせからなりますが,提案手法はこれらを統合した情報の複合的なやりとりを可能にするとともに,専門家でない使用者が,直感的に所望のロボット動作を行わせることを支援するといった特徴を有しています.
提案するTargets-Drives-Means方式とは,行動制御の規範となるTargets,行動を喚起・誘導するDrives,及びその様式であるMeansを整理し,宣言的手法による記述を可能にするものです.
提案するソフトウェアシステムは,工程に基づき命令的に記述する従来の方式ではなく,情報の共有と複合的動作を実現するための宣言的な記述方式によりロボットの行動制御を実現するものです.ここでは,他のアーキテクチャとの比較に加え,プログラミングを行う使用者の観点からみた評価実験を通じて,提案手法の有用性を明らかにして来ました.
Targets-Drives-Means Robot Architecture
http://www.ai.iit.tsukuba.ac.jp/research/tdm/