本研究では、構成論的手法に基づき、人間型ロボットによる能動的な物体理解の実現を目的として、人間の持つ内発的動機をモデルとした行動選択手法を提案しています.人間の乳幼児は、自発的かつ積極的に周囲とのインタラクションを行うことで、実世界に関する理解を深めていきます.ロボットにおいても、同様の機能を持たせることで効率的に実環境へ適応し、行動することを目指したモデル実証実験を行っています.
ここでは,ロボットによる能動的な探索行動を通じて、視聴力覚のセンサ情報を取得し、発生した事象に対応したセンサパターンの分類し,及びそれに基づき,ロボットは自身の行動と発生した物体挙動との関係についての予測モデルを更新します.その上で、新奇性のある物体挙動が生じると予測される行動を優先的に選択する仕組みです.この一連の探索行動を繰り返すことによって、ロボットが実環境で、効率的な物体理解とともに、得られた知見の活用を実現できることを示して来ました.
ロボットの腕振り動作による探索実験により、物体の挙動に関する知見の獲得、及び発生する挙動の複雑さに応じた効率的な探索が可能であることを示しています.さらに複数の物体を用いた実験で、過去に獲得した知見を利用するとともに、未知物体に関する挙動の予測、重さ・材質等の性質に関する判別が実現出来るようになりました.また、複数の姿勢から物体把持の試行を行う実験により、異なるセンサ情報と行動パターンにおいても、提案手法を用いた探索行動による知見の獲得が可能であることがわかりました.さらに、本手法により得られた知見を、ロボットが目的に応じて利用出来ることを確認しました.
これにより,ロボットに新奇な事象を選好する行動選択の基準を導入することで,ロボットが周囲環境及び物体との相互作用を通じて効率的な探索行動を創発することが可能であるという知見が得られています.
年度: 2007-
メンバー:
岩岡 政彰
鈴木 智也
金 国林
鈴木 健嗣
共同研究:
聖アンナ大学院大学
(伊)
Tags:
- 認知ロボティクス
- 次世代知能化技術
本研究の一部は,文部科学省科学研究費補助金の支援を受けて行われております.