我々は,無拘束かつ身体動作と複数筋活動の容易な同時把握を可能とする着用型インタフェースとして,下肢運動状態提示のための発光センサスーツbioLights の開発を行っています.これは筋活動の可視化に焦点を当て,身体動作に伴う下肢筋活動を体表上の筋の位置,筋の形,そして実時間で光の明るさに反映させ提示を行うものです.対象とする筋活動は,筋電位に基づく% MVC および筋張力が提示可能であり,着用型提示システムとして実現することにより,既存のシステムでは困難であった身体動作とそれに伴う複数筋活動を容易に同時把握させています.これにより,複数筋活動を直感的に知覚させたり,運動に寄与する筋活動を把握させることを試みています.また,伸縮性を有する着用型として設計することにより,着用者の体幹サイズや運動時の関節伸展,屈曲にも対応可能になるため,広範囲にわたる応用が期待できます.
これまでに,bioLights の構造および筋活動提示システムを開発し,さらに知覚特性の評価実験によりbioLights のパフォーマンスを示してきました.また,脚部支援機器との併用,および体育トレーニングへの応用実験により,両分野において実応用の可能性があることを実証しています.
これは,単に筋電図として波形を提示するのではなく,いかに提示されている情報が自身の生体情報であるかを知覚させることが重要と考えられます.そのためここでは,あたかも体内における筋が実際に光っているかのような感覚を抱かせることを目指し,体表上における実際の筋の位置,形状,そして実時間での筋活動提示を行うとともに,点や線での提示ではなく,より筋に近い面での発光を実現しています.これらにより,直観的な筋活動の知覚,さらにはこれまで困難であった身体動作と筋活動の容易な同時把握の実現されます.
このように我々は,「拡張生体メディア技術」として,生体の動作や表現を情報技術により拡張し,自身の生体そのものをメディアとして利用する新たな技術を提案しています.本研究により開発したセンサスーツbioLightsは,筋活動を体表で可視化する拡張生体メディア技術であり,本技術による認知的側面からの支援により,限界のある物理的能力を支援,拡張することを試みています.
年度: 2010-
メンバー:
五十嵐 直人
鈴木 健嗣
共同研究:
河本 浩明 (筑波大学)
山海 嘉之 (筑波大学)
筑波大学体育系
筑波大学附属病院
(リハビリテーション)
Tags:
- サイバニクス・拡張生体技術
本研究は,最先端研究開発プログラム(中心研究者:山海嘉之教授)の研究プロジェクトの支援を受けて行われております.
本研究は、「身心統合スポーツ科学センター」の研究プロジェクトに参画しています.
※ 特許出願中.