近年,ユビキタス環境の実現や復号現実感技術の応用に向けて,日常環境中に情報を埋め込むための様々な技術が提案されている.本研究では,不可視光である赤外線と可視光通信の技術を組み合わせたセンサタグ型デバイスの開発を目的としています.このデバイスは赤外線を変調し情報を伝送するため,人に視認されることなく,ID 情報の送信,信号処理及び実時間で変化する情報の送信もスマートセンサで行います.変調された赤外発光に基づき付加情報をカメラで撮影し,画像処理を加えることでID やセンサ情報の内容を抽出するものです.さらに,取得した映像に抽出した情報を重畳して表示することにより,人に直感的にわかりやすい複合現実感(Mixed Reality,MR) の実現が可能です.ここでは,不可視光により情報の送信を行うので,脈拍や筋電位等の生体信号を取得し提示する際に,情報の秘匿性を保つとともに予期せぬバイオフィードバックを防ぐ効果もあります.
このデバイスを用いることにより,複数の物体・人物の測位やセンシングを同時に行い,かつ計測者以外に意識されることなく情報伝達を行うことが可能となる.例えば,複数台のロボットにデバイスを取り付けることにより,ロボットの位置やID,ロボットに搭載したセンサ情報をこのデバイスにより送信可能となります.ここでは,信号計測と情報提示及び測位を同時に可能とするセンサタグデバイス「Stealth Tag」を提案しています.このセンサタグを対象となる人物・物体に装着し,用途に応じてジャイロスコープや筋電計,心拍計などのセンサと接続します.センサにより取得した信号はタグ内でエンコードし,赤外線LED を点滅させることにより情報を発信する仕組みです.このセンサタグの赤外発光を赤外線カメラ等に撮影し,画像処理を用いて伝送された情報を抽出します.また同時に画像上の光点の座標より対象物の位置も同時に計測することが可能です.
このセンサタグデバイスを利用した心拍提示デバイスを開発し,実際にセンサデータを実時間で提示可能であることを示しています.また,複数人の心拍数と位置情報を同時計測することが可能であることもあわせて示しました.赤外光は不可視光であるため,人の目には見えることはありません.また,センサタグの制御基板部は外部に露出させる必要がなく隠蔽することが可能であるため,情報伝送の意図すらも外部に視認されないシステムの構築が可能です.
年度: 2010-
メンバー:
打田 恭平
鈴木 健嗣
共同研究:
鮎澤 聡 (脳神経外科学)
Tags:
- サイバニクス・拡張生体技術
- 社会的相互作用研究
本研究は、グローバルCOEプログラム「サイバニクス:人・機械・情報系の融合複合」の支援を受けて行われております.
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